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事業者間の契約においてクーリングオフは適用されない!起業後の契約は慎重にすべきです!

起業をすると多くの事業者契約を結ぶことになります。ときには営業を受けることもあるでしょう。しかし、事業者間の契約にはクーリングオフが適用されません。それはなぜなのでしょうか。起業前に知っておきたい事業者間の契約について解説します。

クーリングオフとはどんな制度?

クーリング・オフはとは、一度申し込みやがあったり成立した契約について一定の期間内であれば、何らの理由なく消費者の側から撤回や解除したりできる制度です。
訪問販売や電話販売、キャッチセールスなどに捕まって冷静に考える間もなく契約を結んでしまったり、マルチ商法など複雑な契約は仕組となるものはそれについて理解できる前に契約をさせられてしまうことがあります。
そういった不測の事態から消費者を守るためにクーリングオフが存在しています。
例えば、いきなり携帯電話に電話がかかってきて、しつこくセールスをされてしぶしぶ購入してしまったり、「申し込むまで家から出ていかない」といった状況で仕方なく契約を結んだときにクーリングオフは利用できます。
しかし、何でもクーリングオフを認めれば今度は契約の安定性が損なわれてしまいます。
そこで、クーリングオフには一定の対象外となる取引を定めています。
例えば電話で行われたりや自宅に相手が押し掛けてきた場合の契約には適用されますが、通信販売で購入した場合や自ら相手の店舗に出向いた場合などは適用対象外となりますのでご注意ください。
そのような状況は消費者自らが相手へアクセスしており、不測の事態といえる状況ではないためクーリングオフで保護されないのです。

なぜ事業者間の契約にクーリングオフが適用されないのか

契約は守られなければなりません。
これは民法で定められた基本的な原則になります。
とはいえ、一個人たる消費者とセールスを行う事業者とでは知識や経験に差があります。
知識と経験を有する事業主と消費者との関係で契約は守られなければならないという原則を貫けば消費者に著しく不利となることがあります。
その点を修正するのがクーリングオフです。
これを前提として事業者間における契約のクーリングオフについて考えていきましょう。
事業者同士ということは、両者ともに対等といえるだけのの知識と経験を有するとみなされ、一個人たる消費者より保護の必要性が小さくなります。
それどころか事業者同士のビジネスの場にクーリングオフを持ち込めばビジネスの円滑な進行が阻害されてしまいます。
そもそも、クーリングオフの根拠となる特定商取引法は消費者の利益を守ることを目的とした法律でです。
事業者同士の取引は対象とされていません。
こういった理由から事業者間の契約ではクーリングオフが適用されないのです。

例外的に事業者間の契約でクーリングオフが適用される場合もある

例外的に事業者間の契約でもクーリングオフの適用されることがあります。
それは、事業者が個人として利用するものを購入したような場合です。
事業者であっても一個人として、すなわち消費者の立場として使うものを購入したりサービスの契約をすることがあります。
事業者であっても日常生活を送ることは必要なので当然でしょう。
そういった場合は事業者間の契約であってもクーリングオフが適用されることがあります。
過去の判例には、喫茶店を経営する個人事業主がプライベートで使用するファックスをリース契約した際に個人的利用が認められクーリングオフが適用されたという事例もあります。(平成27年10月27日 東京地方裁判所判決)
事業者同士であっても事業用ではなくプライベートに関する契約であればクーリングオフが適用される可能性のあることを覚えておいてください。

起業後に不要な契約を結ばないようにするには?

事業者間で結ばれる契約にクーリングオフが適用されない以上契約は慎重に結ぶべきです。
起業すると多数の顧客と契約を結ぶことになります。
また、広告代理店やWEBサービスの提供事業者など多くの業者から自社のサービスを使ってみないかと営業を受けることにもなるでしょう。
右も左も分からない起業したての状況においては断ることを悪いことに感じて渋々契約したり旨い話に乗せられて安易に契約してしまい後々後悔することも少なくないようです。
当事務所のお客様にもそういった方は多くいらっしゃいます。
特に起業後間もなく資金繰りに不安のある場合その後悔は非常に大きなものになるようです。
そういったことを避け、起業後に不要な契約を結ばないコツは1つです。
それはその場で絶対に契約しないことです。
最低でも中1日空け、それでも必要だと感じたときに契約をしましょう。
少しでも悩んだら契約をしないくらいの気持ちで大丈夫です。
時折「期間限定のサービスなんです」とか「今契約してくれれば割引や特典を付けます」とか「あなただけなんです」などと調子よく耳触りの良いことを言われることもあるでしょう。
そういった言葉に騙されてはいけません。
大抵の場合、誰にでも言っていますし、マニュアルに沿った対応をそのまましゃべっているだけです。
起業間もないうちは絶対その場で契約しないこと。
これを徹底すればクーリングオフを適用したいほど後悔する契約を結ぶことは避けられるはずです。
ビジネスはスピードが命といいますが、起業したての頃はスピードよりも安全性が大切ですです。
今日を生き残り明日を迎えるために、不要な契約を結ばないよう安全に十分に気を配ってください。

契約書の確認は絶対重視すること

もう1つ、起業後はこれまで以上に契約書の存在を重視するようにしてください。
ビジネスの場では対等の立場で契約が結ばれるため消費者として契約する際に比べて法の保護が弱くなっています。
クーリングオフの適用可否を知ればそれが痛いくらいに理解できるはずです。
加えて、ビジネスの場において契約書はまず間違いなく用意をした側に有利となるように作られています。
それを知らずに契約書にサインして契約が成立してしまうと相手に有利なルールで契約をしていることになってしまいます。
起業後間もないうちに起こるトラブルは契約書をしっかり読み込めば回避できたというものも少なくありません。
契約書が読めないのであれば専門家や詳しい方に読み解いて解説してもらうことも有効です。
理想をいえば、契約にかかる契約書は全て自分たちが作成したもので結んでもらうことです。

起業後の契約はクーリングオフが使えないと考えておくべき

クーリングオフは事業主対消費者の契約を想定しているため事業者間における契約では適用されません。
起業後は、起業前に比べて多くの事業者と契約を結ぶことになります。
安易に契約をしてしまうと不利な条件や不要な契約を結んでしまうこともあります。
起業後慣れないうちは、契約について即決しないこと、契約書は徹底的に読み込むことを忘れないでください。
これだけでクーリングオフが適用したいほど後悔する契約を結ぶ可能性をずっと減らすことができます。
もし、契約書やクーリングオフについてお悩みであり、他者の力が必要であれば一度当事務所までご相談ください。

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