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会社設立時に知っておきたい定款の重要性

定款の重要性についてご存じでしょうか。多くの方がそれとなく定款を作成しています。しかし、定款は会社の基礎をなす重要なものです。安易に内容を決めてしまうと後々変更したり時には会社の登記が必要なこともあります。今回は会社の設立時に知っておきたい定款の重要性を解説します。

そもそも定款とは?

そもそも定款というものをご存じでしょうか。
これまでの人生の中で、会社を設立するまでその存在を知らず一度も目にしたことがなかったという方も少なくはないでしょう。
筆者も行政書士という仕事を始めるまで定款というものを目にしたことはありませんでした。
定款とは、株式会社など法人の存在意義や基本的なルールなどを定めた、いわば規則的なものです。
法人は定款に定められた目的の範囲でのみ活動ができ、組織形態や活動方法も定款に従います。
いわば、定款は会社の土台です。
定款があってこその会社ともいえます。

定款にはどんなことを定めるのか?

定款の内容は基本的に定款の作成者(発起人)が自由に決められます。
ただし、まったくの自由というわけではなく大別して3つの項目の中である程度の制限を受けながら作成することになります。
・絶対的記載事項
・相対的記載事項
・任意的記載事項
上記のうち絶対的記載事項はその名の通り絶対に記載しなければならないものになります。
相対的記載事項は、記載がなくてもいいが記載がないと効力を生じないものになります。
最後に、任意的記載事項は絶対的記載事項及び相対的記載事項以外の事項となります。

絶対的記載事項にはどんなものがある?

絶対的記載事項には、次の5項目があります。
・目的
・商号
・本店の所在地
・設立に際して出資される財産の価額又はその最低額
・発起人の氏名又は名称及び住所
上記のうち特に注意するべきなのは目的です。
会社は目的の範囲内でのみ活動できます。
そのため、この目的をどのように記載するかが重要になります。
基本的にはメインで行う事業とそれに付随する事業、そして将来行う可能性のある事業を記載しておけば良いでしょう。
目的の書き方の例としては、建設業を行う会社であれば、メインの目的として「建築・土木工事の請負及び施工」などと記載することが望ましいでしょう。
リサイクルショップの経営を行う会社であれば「古物営業法に基づく古物商」などと記載することになるでしょう。
ホームページ制作会社であれば、「インターネットのホームページの企画作成及び運営管理」などと記載することになるでしょう。
なお、建設業やリサイクルショップなど法令により許認可が必要となる場合定款の目的にそれが含まれていなければなりません。
東京都であれば「建築・土木工事の請負及び施工」という記載ですべての種類で建設業許可が取得できますが、他の都道府県においては異なることもあります。
許認可が必要な業種で事業を営む場合はその許可を管轄する機関へ定款について相談しておくことをおすすめします。

相対的記載事項

相対的記載事項としては次のようなものがあります。
・設立時取締役、取締役選任時の累積投票廃除について
・株主名簿管理人について
・単元株式数について
・取締役会、会計参与、監査役、監査役会、会計監査人及び委員会の設置について
・取締役、会計参与、監査役、執行役及び会計監査人の責任免除について
・社外取締役、会計参与、社外監査役及び会計監査人の責任限定契約について
相対的記載事項はかなりの種類があり全てを記すと膨大な量となるため上記で示したものはほんの一部です。
会社法に「定款により別段の定めをすることができる」と記載されているものはすべて相対的記載事項となっています。
簡単にいうと、ちょっと特殊な取り扱いをしたいときに決める項目というイメージです。
かといって相対的記載事項に該当するものは定款に定めがなければその効力を生じません。
必ず自身がどのように運営される会社を作りたいか明確にして相対的記載事項にその内容が含まれていないか確認しておくことが大切です。

任意的記載事項

任意的記載事項とは、絶対的記載事項と相対的記載事項以外の事項で、各種法令の規定に違反しないものをいいます。
例としては下記のようなものがあります。
・株主名簿の基準日
・株主総会の招集時期
・株主総会以外の機関の内容
・会社の事業年度
・公告の方法
任的記載事項においても取り決めがあればルールとして明文化するために定款にしっかりと記載しておきましょう。

定款を適当に作ると無駄な手続きが増える!

とりあえず会社を設立したい。
そう思っても適当に定款を作成することは避けるべきです。
何度も述べているように定款は会社の基礎です。
定款の中には下記のように会社の登記簿に登記され、定款の変更にあたっては変更登記をする必要が出てくるからです。
具体的には下記のような項目が該当します。
・会社の名称
・目的
・発行可能株式総数
・発行済株式の数
・資本金の額
・本店の所在地
・公告の方法
・株式の譲渡制限
・取締役会の設置など会社の機関設計
定款のうち上記の内容を変更すると登記の変更も必要となります。
登記の変更となると、煩雑な申請書作成と管轄する法務局への申請が必要になります。
そして最低でも登録免許税が1万円から3万円かかります。
多少のことであれば、不便を我慢してでも定款を変更しない範囲で活動を行うということも可能かもしれません。
しかし、許認可が必要な場合は定款を変更せざるを得ないということもあります。
例えば、先に述べたような建設業や古物商のほか、飲食店や人材業を営むための許可は定款の目的にそれらが記載されていなければ許可が下りないようになっています。
また、定款の認証を受けた後、会社の設立前に「定款の内容を変えたい」となってしまったときは定款の再認証が必要となることもあります。

銀行での口座開設や融資を断られることもある

定款は銀行で法人口座を開設したり融資の申し込みを行う際に提示が必要になります。
定款を見ればある程度会社の成り立ちや現在の様子が分かるため銀行はそれを見て取引の有無を決定する1つの材料に利用します。
銀行が定款を見たとき、会社の目的の欄がぐちゃぐちゃで、どんなことを事業として行う会社なのか分からないと実態が不明瞭であると判断されて法人口座の開設や融資といった銀行との取引の妨げになる場合があります。
そのため、定款を作成する際は外部に見られても問題のないようにしていく必要があります。
特に目的については思いつくものをすべて羅列するのではなく、ある程度絞って記載することが重要になります。

定款は変更できないの?

定款は後々変更することが可能です。
会社の設立時に認証を受けた定款は原子定款と呼ばれます。
定款の変更時、これを直接変更する形での定款変更は基本行いません。
定款の変更は株主総会で定款の変更を行う旨と変更後の内容を決定し、その議事録(株主総会議事録)を原子定款と一緒に補完する形をもって定款変更とします。
そうして変更履歴が追えるようにする必要があるのです。
定款は新しく1から再作成することもできますが、その方法は変更履歴が分からなくなったり本当にそれが現行の定款であるか分からなくなってしまうということも多いためあまりおすすめできません。
なお、変更事項が目的のように登記事項に該当する場合は法務局にて変更登記も同時に行います。
このように、定款の変更は管理や手続きの煩雑さが増えるためできるだけ行わないようにするのが理想です。

結局定款は自分で作るべきか専門家に依頼するべきか

定款についてはまず間違いなく自分で作るのではなく専門家に依頼するのが正解です。
もちろん作るだけなら誰でも作れます。
しかし、問題となるのはその後です。
会社の運営中に思いもよらない部分でつまずいてしまったり、いらぬ手間を生じさせてしまうこともあります。
定款は会社の基礎的となるルールを定める大切な事項です。
少ない手間でよりしっかりとした定款を作るためにも可能な限り行政書士など専門家に依頼することをおすすめします。

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