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電子定款の原本とは?「定款の原本を提出してください」に困ったときの対応を解説

印紙代も安く、複製も容易であるため会社を設立する際は多くの方が電子定款を作成されています。しかし、電子定款は電子データで作成されています。電子定款の原本はどこにあるのでしょうか。電子定款の提出に関する疑問を解決します。

電子定款の原本はいわゆる電子データのこと!

電子定款の原本とは電子定款のPDFデータそのもののことをいいます。
電子定款を作成した際、公証役場の担当者から渡されたCDやフラッシュメモリの中に3つのファイルが入っているでしょう。
その中に1つPDFファイルが入っているでしょう。
簡単にいうと、そのPDFファイルが電子定款の原本に当たります。
テレビ電話方式で完全にオンライン上で認証を受けた定款の場合は「申請用総合ソフト」からDLしたファイルになります。
電子定款の場合、原本といっても定款そのものが現物として存在しているわけではないのです。

電子定款の原本提出はデータを印刷したものでOK

電子定款の原本が電子データである以上、原本の提出は現実的にはほぼ不可能です。
提出先が「電子データをメールで送ってくれればいいですよ」と言ってくれれば話は別なのですが現実的にそんなことはそうそうありません。
とするならば、方法は1つです。
電子定款のデータを印刷してそれを提出する方法です。
しかし、印刷したままの電子定款をそのまま提出してはいけません。
それでは電子定款を印刷した紙束です。
大抵の場合、それを電子定款の原本として受け取ってはもらえないでしょう。
電子定款を現実世界に持ってきました!
そう言えるように定款としての体裁を整える必要があります。
具体的には、定款を1ページ目から順に重ねていき、左側2か所でホチキスで留め、全てのページのつなぎ目に会社の実印で契印(けいいん)するのです。
そうすることで、全てのページに連続性が担保され、「途中でページが差し替えられたり抜けたりしていませんよ」と保証し、電子定款の原本と相違ない電子定款の写しが完成します。
これはあくまで定款の電子データを印刷したもので、本当の意味での電子定款の原本とは言い切れないかもしれません。
しかし、電子データが本物である電子定款を現実に持ち出すにはこうするしかなく、実務上はこれが電子定款の原本として扱われています。

印刷した電子定款は製本するべき

電子定款は印刷したら製本しておくべきです。
製本することで定款の見栄えも良くなるだけでなく、契印の手間を減らすこともできます。
電子定款は印刷すると通常5ページ程度となります。
会社によっては8ページや10ページにわたることもあるでしょう。
それらすべてのページに契印していくのは大変です。
そこで行ってほしいのが製本です。
製本をしていれば表紙と裏表紙に1か所ずつ、合計2か所に製本テープと定款本体の紙部分とにまたがるように契印をすればそれだけで契印が完了します。
定款がよりしっかりしたものとなり、さらに面倒な契印の手間も少なくなるとあればやらない手はありません。
製本とはいいますが、糸をつかったり専門の機材を使って行うわけではありません。
ここでいう製本とは背表紙に製本テープを貼り付けるだけです。
それこそ幼児向けの工作よりもはるかに簡単です。
テープは文具店の他、100円ショップでも売っています。
ただし、100円ショップには店舗によっては置いていないこともあるためあらかじめ店舗に確認しておくことをおすすめします。

電子定款を提出する際は原本証明を忘れないこと

電子定款を印刷して提出する際に忘れてはいけないのが原本証明です。
原本証明とは、提出する電子定款が本当にその会社の電子定款を印刷したものであるかを証明する方法です。
しかし、それだけでは電子定款のデータを印刷した、ただのの写しになってしまいます。
本当に原稿定款であるかどうか提出された先の機関で判断することができません。
そこで必要となるのが原本証明なのです。
原本証明は定款の末尾に朱書き(赤字)で次のように記載し、代表者名の横に法人の実印で押印することで完了します。

以上、原本と相違ありません。
令和〇年〇月〇日
東京都多摩市〇〇〇3-23-5
株式会社〇〇
代表取締役 〇〇  印


ただし、提出先によっては「以上、原本と相違ありません。」の部分を「以上、当会社の現行定款の原本と相違ありません。」と現行定款と相違ないことをしっかりと明記するよう求められることもあります。
原本証明の文言については提出先によって異なることがあるため、必ず提出先に確認することが大切です。

原本ではなく謄本(とうほん)の提出を求められたときは…?

そう多いわけではありませんが時に電子定款の原本ではなく「謄本(とうほん)」の提出を求められることがあります。
銀行口座の作成などがその代表例です。
謄本について簡単にいうと、公的機関が認証がある原本のコピーです。
謄本は基本的に電子定款の認証完了後に公証人ないし作成を依頼した行政書士などの専門家から受け取っているかと思います。
しかし、まれに電子定款の謄本を発行していないこともあるようです。
電子定款の場合、謄本請求はやや複雑な手続きになります。
この場合は作成を依頼し行政書士などの専門家に相談するか、認証を受けた公証役場に直接ご相談ください。

電子定款の原本提出はデータを印刷したものでOK

電子定款の原本は電子データになります。
電子定款の原本の提出を求められたときはそれを印刷し、朱書きと押印をしたものを提出すれば問題ありません。
当事務所では電子定款の取り扱いにおける相談についても承っています。
電子定款の原本作成など電子定款についてお困りことはあればお気軽にご相談ください。

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